医師会の影響力に変化?自民・維新連立が動かす医療改革の行方

日経新聞MyThink

今日は2025年11月2日の日経電子版から、医療と政治に関する記事を取り上げたいと思います。

社会保障改革「開業医より病院」支援に 自維連立、日本医師会「厳しい項目並ぶ」 - 日本経済新聞
自民党と日本維新の会が結んだ連立政権合意書は、日本医師会をはじめ医療界に波紋を広げた。物価高対策の対象が「病院及び介護施設」と記され、開業医が外れたと映ったからだ。高市早苗首相の所信表明演説では「医療機関や介護施設」になったが、連立政権の検討課題には病院優先の姿勢がにじむ。日本医師会の松本吉郎会長は10月22日の記者会...

記事の要約

自民党と日本維新の会の連立政権合意を巡り、医療界、とくに日本医師会に波紋が広がっています。物価高対策や社会保障改革において「病院」を優先する姿勢が見え、開業医の支援が弱まるのではという懸念があります。とりわけ、市販薬と効果が類似する処方薬(OTC類似薬)を保険適用外にする案が焦点となっており、医療費削減を狙う一方で患者負担増や医療リスクへの懸念も指摘されています。また、診療報酬を決める中医協改革など、医師会の影響力を弱め、病院中心の政策へ転換する動きが示されています。

記事に至る経緯

背景には、現役世代の負担軽減を掲げる維新の主張と、財政健全化の必要性があります。社会保障費の膨張が続く中、従来の自民・公明体制では踏み込みにくかった改革を、維新の参加で推進する構図です。医師会はこれまで自民党の強固な支持基盤でしたが、今回の合意はその力学に変化をもたらしています。

見解

今回の動きは、医療制度の持続性を確保するうえで避けられない議論といえます。人口減少と高齢化が進む中、保険財政を守るには、適正な医療資源配分が必要です。病院の経営状況が悪化している一方で、開業医は一定の利益を維持しているデータを踏まえれば、病院支援に重点を置く方針は合理性があります。

しかしながら、OTC類似薬の保険適用外化は慎重さが求められます。患者の自己判断で不適切な薬を選択するリスクや、子育て世帯の負担増といった影響は無視できません。また、医師会との対立が激化すれば、現場の協力を得られず改革が頓挫する可能性もあります。

重要なのは、医療費削減を目的化せず、国民の健康と医療アクセスを維持しながら効率化を図ることです。政府には丁寧な説明と、患者保護のための制度設計、供給体制整備が求められます。

まとめ

自民・維新連立による医療改革は、医師会の影響力を揺るがす大きな転換点となっています。財政面からみれば改革の方向性に一定の合理性がある一方、患者への影響や安全性への配慮が不可欠です。政治的対立ではなく、国民の医療を守るという共通目的のもと、現場と政策側が歩み寄り、持続可能な医療制度を構築していくことが期待されます。

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